早期精神症ユニット

はじめに

早期精神症ユニット(Early psychosis unit)、愛称:SAFE(セイフ):Sendai At-risk mental state and First Episode(SAFE)では、統合失調症を中心とした精神症の研究に取り組んでいます。グループでは、特に精神症(Psychosis)の罹患危険状態であるアットリスク精神状態(at-risk mental state: ARMS)と、顕在発症後早期の精神症に注目して研究しています。全国に先駆けてARMSのための専門外来「こころのリスク外来」(http://safe-youthcentre.jp/)を開設し、臨床実践の中から精神症の予防介入、発症メカニズムの解明、慢性化の予防などの課題に取り組んでいます。テーマは臨床経過、症候学、診断学、認知行動療法、心理学的評価、認知機能評価、脳構造など多岐に渡っています。当ユニットには精神科医のみならず、臨床心理士、精神保健福祉士、看護師なども参加しています。所属大学院生も多く、予防精神医学寄付講座と連携しているほか、精神科医局内の他グループの医師や関連病院との協力も行っています。また今後は、精神症だけではなく、さまざまな精神疾患の予防に向けた取り組みに力を入れていきたいと考えております。

研究室では、毎週火曜日夕刻に事例検討、研究打合せのミーティングを行っています。認知行動療法をはじめとする心理療法スキルアップのための勉強会の企画、事例提供にも関与しているほか、一般臨床の現場に対して研究成果を還元する役割も担っています。国内外での学会報告も積極的に行っており、宮城県立精神医療センター、東北大学教育学部臨床心理学分野、医学部保健学科などとも共同研究を行っています。文部科学省科研費や厚生労働省神経研究委託費など国内におけるさまざまな研究に携わっています。

臨床部門

思春期や青年期(14-35歳)を対象にした下記の専門診療を完全予約制で行っています。(詳しくはこちら

こころのリスク外来

精神症(psychosis)や統合失調症の発症リスクが高い方、前駆期が疑われる方のための診療を行っています。

  • こころのリスク状態(ARMS)、統合失調症、精神症の鑑別
  • こころのリスク状態(ARMS)の方の評価、検査、治療

早期精神症外来

精神症(psychosis)や統合失調症の早期段階、初発の方のための診療を行っています。

  • 発症後5年以内の統合失調症、初回エピソード精神病の方の評価、検査、治療
  • 初回精神症の方のための、臨床心理士・看護師による心理プログラム

研究部門

早期精神症ユニットでは、現在下記のテーマに取り組んでいます。

  • ARMSに対する診断、評価(CAARMS)、治療の検討 [桂、大室、小原、菊池、松本]
  • ARMSの治療予後についての検討 [桂、小原、大室、松本]
  • ARMS、早期精神症の認知、心理的要因についての検討 [内田、石井、桂、濱家、松本]
  • ARMS、早期精神症の家族についての検討 [濱家、松本]
  • ARMS、早期精神症の認知機能についての検討 [大室、内田、伊藤(文)、松本]
  • ARMS、早期精神症に対する認知行動療法 [濱家、砂川、越道、内田、桂、大室、小原、菊池、松本]
  • ARMS、早期精神症のMRI脳構造解析 [佐久間、菊池、小原、大室、松本]
  • 早期精神症に対する早期支援プログラムの開発 [濱家、光永、砂川、大室、松本]
  • 学校におけるメンタルヘルスと早期介入 [内田、松本]

SAFEの最近の主な活動

論文・著書

  • Miyakoshi T, Matsumoto K, Ito F, Ohmuro N, and Matsuoka H: Application of the Comprehensive Assessment of At-Risk Mental States (CAARMS) to the Japanese population: reliability and validity of the Japanese version of the CAARMS. Early Intervention in Psychiatry, 3:123-130, 2009
  • Uchida T, Matsumoto K, Kikuchi A, Miyakoshi T, Ito F, Ueno T, Matsuoka H: Psychometric properties of the Japanese version of the Beck Cognitive Insight Scale: relation of cognitive insight with clinical insight. Psychiatry and Clinical Neurosciences, 63, 291-297, 2009
  • Mizuno M, Suzuki M, Matsumoto K, Murakami M, Takeshi K, Miyakoshi T, Ito F, Yamazawa R, Kobayashi H, Nemoto T, Kurachi M:Clinical practice and research activities for early psychiatric intervention at Japanese leading centres. Early Intervention in Psychiatry, 3:5-9, 2009
  • 松本和紀:4. 前駆期における非生物学的治療.専門医のための精神科臨床リュミエール,7.統合失調症の早期診断と早期介入(水野雅文編).中山書店,東京, 2009
  • 松本和紀、宮腰哲生、伊藤文晃、大室則幸、松岡洋夫:精神病発症危険群への治療的介入:SAFEこころのリスク外来の試み.精神神経学雑誌 111: 298-303, 2009
  • 井藤佳恵, 松本和紀, 松岡洋夫. 統合失調症の早期経過と介入のエビデンス. 臨床精神薬理 12: 393-401, 2009.
  • 伊藤文晃, 松本和紀, 大室則幸, 内田知宏, 濱家由美子, 宮腰哲生, 中村真樹, 松岡洋夫:“アットリスク精神状態”における認知機能障害.脳と精神の医学19:195-202, 2008
  • 松本和紀, 宮腰哲生, 伊藤文晃, 内田知宏, 鈴木健, 大野高志:統合失調症に対する早期介入. 精神医学50: 227-235, 2008
  • 宮腰哲生、松本和紀.統合失調症・精神病への早期介入.作業療法ジャーナル 42(11);1108-1115, 2008
  • 松本和紀, 宮腰哲生, 伊藤文晃, 内田知宏, 鈴木健, 大野高志. 統合失調症に対する早期介入. 精神医学 50; 227-235, 2008
  • 松本和紀. 早期介入・初期治療のためのサービスの組織化. Schizophrenia Frontier 9; 7-10, 2008
  • 松本和紀. イギリスにおける早期介入-国の政策に採用され普及するサービス. こころの科学 133; 33-39, 2007
  • 松本和紀. 早期精神病の早期介入に向けた新たなアプローチ−アットリスク精神状態/前駆期を中心に. 精神医学 49; 342-353 2007
  • 松本和紀. 早期精神病の治療. 統合失調症の治療−臨床と基礎(佐藤光源,丹羽真一,井上新平編), 朝倉書店, pp514-522, 2007
  • 宮腰哲生、松本和紀、伊藤文晃、松岡洋夫.統合失調症の前駆症とアットリスク精神状態. 臨床精神医学 36(4) : 369-375,2007
  • 松本和紀, 伊藤文晃, 大室則幸, 桂雅宏, 今泉修, 松岡洋夫. 精神病症状に対する脆弱性としてのプロソディ(音声の韻律的特徴)受容の障害, 精神神経学雑誌 109; 759-764, 2007
  • 松本和紀、宮腰哲生.(翻訳)統合失調症の早期発見と認知療法−発症リスクの高い状態への治療的アプローチ (Early detection and cognitive therapy for people at high risk of developing psychosis by French P and Morrison AP, Wiley, 2004), 星和書店, 2006

学会発表

  • Fumiaki Ito and Kazunori Matsumoto. Cognitive function in people with at-risk mental state for psychosis. 2nd World Federation of Societies of Biological Psychiatry Asia-Pacific Congress. 2008, 富山 [シンポジウム]
  • F Ito et al. Prefrontal Cortical Activation in Patients with Early Psychosis as Measured by Near-infrared Spectroscopy. 6th International conference on early psychosis. 6th International Conference on Early Psychosis. 2008, メルボルン
  • T Uchida et al. Cognitive insight among young patients at risk of developing psychosis. 6th International conference on early psychosis. 6th International Conference on Early Psychosis. 2008, メルボルン
  • T. Miyakoshi, K. Matsumoto, F. Ito, N. Omuro, M. Katsura, T. Uchida, Y. Hamaie, H. Matsuoka. Reliability and validity of the Japanese version of the Comprehensive Assessment of at risk mental state (CAARMS-J). 6th International Conference on Early Psychosis. 2008, メルボルン
  • 松本和紀. 精神病発症危険群への治療的介入:SAFEこころのリスク外来の試み. 日本精神神経学会総会. 2008, 東京 [シンポジウム]
  • 川村知慧子, 内田知宏, 濱家由美子, 小山康則, 安保英勇, 上埜高志, 松岡洋夫, 松本和紀. 日本版簡易中核スキーマ尺度の信頼性・妥当性の検討. 日本認知療法学会. 2008, 東京
  • 濱家由美子, 光永憲香, 松本和紀.精神病に対する早期支援プログラムについて−心理士・看護師による介入.日本精神障害予防研究会. 2008, 東京 [シンポジウム]
  • 桂雅宏 et al. ARMS(At-Risk Mental State)に対するわが国での治療介入指針に向けて. 日本精神障害予防研究会. 2008, 東京
  • 三船奈緒子, 内田知宏, 斉藤恵子, 安部恵, 川村知慧子, 濱家由美子, 安保英勇, 松本和紀, 上埜高志. 養護教諭からみた高校におけるメンタルヘルス. 日本精神障害予防研究会. 2008, 東京
  • 大室則幸,宮腰哲生,伊藤文晃,濱家由美子,内田知宏,桂雅宏,松本和紀,松岡洋夫.アットリスク精神状態(ARMS)での抗精神病薬治療について?症例を通しての考察.日本精神障害予防研究会. 2008, 東京
  • 内田知宏,松本和紀,伊藤文晃,宮腰哲生,菊池安希子,濱家由美子,安保英勇,上埜高志,松岡洋夫. 統合失調症における認知的洞察―病識および精神症状との関連について―第3回統合失調症学会, 2008 [東京]
  • 宮腰哲生,松本和紀, 伊藤文晃, 桂雅宏,大室則幸,佐久間篤, 濱家由美子,内田知宏,松岡洋夫. 精神病発症危険群(アットリスク精神状態)の6ヶ月経過 予備的報告.第3回日本統合失調症学会 2008〔東京〕
  • T Miyakoshi, K Matsumoto,F Ito, A Sakuma, M Katsura, N Omuro, T Uchida, Y Hamaie, H Matsuoka. Six-month follow-up of Japanese high risk ("at risk mental state) group in sendai: preliminary findings. 14th Biennial Winter Workshop on Schizophrenia and Bipolar Disorders 2008〔モントルー〕
  • K Matsumoto,T Uchida,A Kikuchi,F Ito,T Miyakoshi,T Ueno,H Matsuoka, Cognitive insight in patients with schizophrenia: A pilot study using the Japanese version of the Beck Cognitive Insight Scale. World Congress of Behavioural & Cognitive Therapies, 2007 [バルセロナ]
  • T Uchida,K Matsumoto,Y Oyama,A Kikuchi,H,H Matsuoka,T Ueno. Cognitive insight in Japanese healthy volunteers: An investigation using Beck Cognitive Insight Scale. World Congress of Behavioural & Cognitive Therapies, 2007 [バルセロナ]
  • 内田知宏,松本和紀,菊池安希子,濱家由美子,安保英勇,上埜高志, 松岡洋夫. 日本版ベック認知的洞察尺度の信頼性・妥当性の検討. 日本認知療法学会, 2007 [東京]
  • 松本和紀. 精神病症状に対する脆弱性としてのプロソディ(音韻の韻律的特徴)受容の障害. 日本精神神経学会総会, 2007[高知] [シンポジウム]
  • 宮腰哲生,伊藤文晃, 桂雅宏,大室則幸,濱家由美子,松本和紀,松岡洋夫. アットリスク精神状態という概念に基づいた診断・治療が有用であった一例.第27回日本精神科診断学会 2007〔徳島〕
  • 宮腰哲生,伊藤文晃, 小泉弥生, 松本和紀,松岡洋夫. ”初回前駆期”の診療についてのアンケート調査−宮城県の精神科医を対象に.第61回東北精神神経学会 2007〔仙台〕

(2013.7.8改訂)

→研究活動TOPへ