ご挨拶

平成30年12月16日付で当精神神経学分野の教授として着任いたしました。私は、2006年に東北大学大学院医学系研究科精神・神経生物学分野に准教授として着任、東日本大震災を経て2012 年からは東北大学災害科学国際研究所災害精神医学分野という新設の研究室を主催させて頂いておりましたが、いずれの時期も精神神経学分野と連携しながら活動して参りました。精神神経学分野のこれまでの流れを踏襲しつつ、更に発展させることができればと考えています。

当精神神経学分野は1916年に"精神病学講座"として開講された伝統ある教室で、てんかん、意識、睡眠障害、逆耐性現象などの研究では先駆的な役割を果たしてきました。近年では、早期精神症、児童精神医学、周産期メンタルヘルス、リエゾン精神医学など幅広い領域での取り組みを進めるとともに、丁寧な人材育成により優秀な人材を多く輩出してきています。また、東北大学病院では2010年にてんかん科が新設され、2015 年には心療内科を核とした摂食障害治療支援センターが設置される等、精神科に関連する専門の診療体制も充実しています。更に、当教室は長年に渡って地域の多くの精神科医療機関とのネットワークを構築してきている他、地域の自治体や住民の方と連携した公衆衛生学的な取り組みを活発に行なってきているという特色もあります。これら長年に渡って築いてきた体制と学内の豊かな環境を活かして、様々な社会の精神科医療ニーズに対応できる精神科医の育成を進めます。

一方、東北大学は2017年に世界最高水準の教育研究活動の展開を行う指定国立大学法人に指定されるに至った最先端の教育・研究基盤を有しています。近年、ゲノム情報や生体試料情報を活用するとともにバイオセンシング技術、IT技術やAI技術を駆使した未来型の医療は精神科領域においても実装化が近い状況です。当精神神経学分野は学内外の研究室や企業と連携してその開発主導の一翼を担うとともに、最新の知見や技術を活用して患者さんやご家族に寄り添った医療を提供できる医師を育成できればと考えています。

当精神神経学分野、並びに、当分野と連携する精神科医療圏の精神科医が、精神医学的諸問題を抱えた地域の皆様のニーズを的確に捉えながら、敬意を持って患者さんやご家族と接し最善の医療を提供し、未来の精神医療の創造に向けて活き活きと活躍できるよう、関連の皆様と力を合わせて様々な課題に取り組んで参ります。


富田博秋